児童発達支援や放課後等デイサービスの現場では、
子どもが活動に入れない場面があります。
たとえば、
- みんなが制作を始めても、一人だけ動かない
- 集団活動に誘っても「やらない」と言う
- 椅子に座らず、部屋の端にいる
- 活動の前になると泣く、怒る、逃げる
- 好きな遊びから切り替えられない
このような姿を見ると、支援者はつい、
「参加させなければ」
「みんなと同じようにやらせなければ」
「このままだと集団に入れないのでは」
と考えてしまうことがあります。
しかし、子どもが活動に入れないとき、まず大切なのは、
無理に参加させることではなく、なぜ活動に入りにくいのかを見立てることです。
SHIPでは、子どもの姿を「できる・できない」だけで見ず、
その行動の背景に何があるのかを考えることを大切にしています。
活動に入れない=やる気がない、ではない
子どもが活動に入れないとき、
「やる気がない」
「わがまま」
「集団行動が苦手」
と見えてしまうことがあります。
しかし、実際にはそう単純ではありません。
活動に入れない背景には、たとえば次のような理由があります。
- 何をするのか分からない
- いつ終わるのか分からない
- 手順が多くて不安
- 音や人の多さが負担になっている
- 失敗するのが怖い
- 以前うまくできなかった経験がある
- 活動の意味が分からない
- 好きな遊びから気持ちを切り替えられない
つまり、活動に入れない姿は、
子どもからの「困っているサイン」である可能性があります。
放課後等デイサービスガイドラインでも、障害のあるこどもの支援では、こども一人ひとりの障害の状態、発達の過程、特性等に応じた合理的配慮が求められるとされています。
視点1:活動の内容が難しすぎないか
まず確認したいのは、
その活動が、その子にとって難しすぎないかという視点です。
支援者側は「簡単な活動」と思っていても、
子どもにとっては難しいことがあります。
たとえば、制作活動であれば、
- 説明を聞く
- 材料を見る
- 手順を理解する
- はさみやのりを使う
- 見本と同じように作る
- 最後まで座って取り組む
という複数の力が必要になります。
一見シンプルな活動でも、
子どもにとってはたくさんの負荷が重なっている場合があります。
そのため、活動に入れないときは、
「この子にとって、どこが難しいのか」
「手順を減らせないか」
「最初の一歩をもっと小さくできないか」
と考えることが大切です。
支援の工夫
たとえば、いきなり全部をやらせるのではなく、
- まず材料を選ぶだけ
- 最初の1工程だけ一緒に行う
- 完成形を見せてから始める
- 見本を近くに置く
- 「ここまでできたら終わり」と示す
というように、参加のハードルを下げます。
大切なのは、
活動をやらせることではなく、参加しやすい形に整えることです。
視点2:見通しが持てているか
次に大切なのは、
子どもが活動の見通しを持てているかです。
子どもによっては、
「今から何をするのか」
「どのくらいやるのか」
「終わったらどうなるのか」
が分からないと、不安が強くなることがあります。
大人でも、予定が分からないまま突然行動を求められると不安になります。
子どもも同じです。
特に、切り替えが苦手な子や、初めての活動が不安な子にとっては、
見通しがない状態で活動に入ることは大きな負担になります。
支援の工夫
見通しを持ちやすくするためには、
- 写真や絵カードで流れを示す
- 「今は〇〇、次は〇〇」と伝える
- 終わりの時間や回数を示す
- タイマーを使う
- 活動の始まりと終わりを分かりやすくする
- 事前に予定を伝えておく
といった工夫が有効です。
たとえば、
「今から制作をします」
だけではなく、
「まず紙を選びます」
「次にシールを3枚貼ります」
「終わったら好きな遊びをします」
と伝えると、子どもは活動の流れを理解しやすくなります。
視点3:参加の仕方に選択肢があるか
3つ目は、
参加の仕方に選択肢があるかという視点です。
活動に入れない子に対して、
「みんなと同じように参加すること」だけを求めると、
子どもにとっては苦しくなることがあります。
最初から集団の真ん中に入ることが難しい子もいます。
座って参加することが難しい子もいます。
見てから参加したい子もいます。
その場合、参加の形を少し広げることが大切です。
支援の工夫
たとえば、
- 近くで見るだけでもよい
- 支援者と一緒に一部だけ参加する
- 友達の様子を見てから参加する
- 端の席から参加する
- 道具を配る役割で参加する
- 最初の数分だけ参加する
という形でも、十分に「参加の一歩」になります。
大切なのは、
参加できたか、できなかったかの二択で見ないことです。
「見ることができた」
「近くにいられた」
「1つだけ選べた」
「支援者と一緒ならできた」
こうした小さな変化を支援者が見取ることが、次の支援につながります。
無理に参加させる前に、環境を見直す
子どもが活動に入れないとき、
子どもだけを変えようとすると、支援は苦しくなります。
もちろん、子ども自身が少しずつ経験を広げていくことは大切です。
しかし、そのためには、まず環境や関わり方を整える必要があります。
確認したいのは、次のような点です。
- 活動の流れは分かりやすいか
- 音や人の多さが負担になっていないか
- 説明が長すぎないか
- 手順が多すぎないか
- 選択肢があるか
- 終わりが分かるか
- 失敗しても大丈夫な雰囲気があるか
- 支援者の声かけが子どもを追い詰めていないか
こども家庭庁のガイドラインでも、障害のあるこどもや保護者と対話を重ね、物理的環境、意思疎通、ルールや慣行など、何が活動を制限する社会的バリアになっているかを検討することが重要とされています。
SHIPが大切にしている支援
SHIPでは、子どもの姿を
「できる・できない」だけで判断しません。
活動に入れない姿があったときも、
すぐに「参加させる」ことだけを目指すのではなく、
- 何が不安なのか
- どこで困っているのか
- どんな環境なら参加しやすいのか
- どんな関わりなら安心できるのか
をチームで考えます。
そして、子ども一人ひとりに合わせて、
活動への入り方、支援者の関わり方、環境の整え方を調整していきます。
子どもが安心して挑戦できる環境をつくること。
小さな参加の一歩を見逃さないこと。
支援者が一人で抱え込まず、チームで支援をそろえること。
それが、SHIPが大切にしている支援です。
専門性を深めながら働きたい方へ
児童発達支援や放課後等デイサービスの仕事は、
子どもと楽しく過ごすだけの仕事ではありません。
子どもの行動を見立て、
背景を考え、
環境を整え、
チームで支援をそろえていく仕事です。
SHIPでは、子どもの姿を丁寧に見ながら、
一人ひとりの発達や特性に合わせた支援を大切にしています。
山梨県笛吹市・中央市周辺で、
児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・相談支援の仕事に関心がある方は、ぜひ採用情報をご覧ください。

