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新人支援者が最初に身につけたい子どもの行動観察の視点|「できない」ではなく背景を見る支援

児童発達支援や放課後等デイサービスで働き始めたばかりの頃は、
子どもの姿をどう見ればよいのか迷うことがあります。

たとえば、現場では次のような場面があります。

  • 活動に入れない
  • 椅子に座っていられない
  • 友達に手が出てしまう
  • 切り替えが難しい
  • 何度伝えても同じ行動を繰り返す
  • 泣く、怒る、逃げる、固まる

このような姿を見ると、支援者はつい、

「どう声をかければいいのか」
「注意した方がいいのか」
「どこまで待てばいいのか」
「自分の関わり方が悪いのではないか」

と悩みます。

新人支援者が最初に身につけたいのは、
すぐに正解の声かけを探すことではなく、子どもの行動を観察する視点です。

こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインでは、障害のあるこどもの発達や特性を理解し、一人ひとりの状況に応じて支援を行うことが重視されています。支援の質を高めるためには、子どもの行動を表面的に判断するのではなく、背景を見立てる力が重要です。

SHIPでは、子どもを「できる・できない」だけで見ず、
その行動の背景に何があるのかを考える支援を大切にしています。


行動観察とは、子どもを評価することではない

行動観察というと、
「何ができるかをチェックすること」
「問題行動を見つけること」
のように思われることがあります。

しかし、支援の現場で大切な行動観察は、子どもを評価するためのものではありません。

大切なのは、

その子が、どんな状況で困りやすいのか
どんな環境なら安心しやすいのか
どんな関わりなら力を発揮しやすいのか

を見つけることです。

たとえば、同じ「活動に入れない」という姿でも、背景は一人ひとり違います。

  • 活動内容が難しい
  • 何をするのか分からない
  • 失敗するのが不安
  • 音や人の多さがつらい
  • 前の活動から切り替えられていない
  • 先生の声かけが強く感じられている
  • 友達との距離が近すぎる

つまり、同じ行動でも、理由は同じとは限りません。

だからこそ、支援者には
行動の前後を見る力
が必要です。


視点1:行動の「前」を見る

子どもの行動を見るとき、まず大切なのは、
その行動が起きる前に何があったかを見ることです。

たとえば、子どもが急に怒ったように見える場面でも、実際にはその前にきっかけがあります。

  • 活動の変更があった
  • 急に声をかけられた
  • 好きな遊びを終える場面だった
  • 苦手な課題が始まった
  • 友達との距離が近かった
  • 大きな音がした
  • 待ち時間が長かった
  • 予定が分かりにくかった

支援者が「怒った」「泣いた」「逃げた」という結果だけを見ると、
子どもの姿を誤って理解してしまうことがあります。

大切なのは、

この行動の前に、何があったのか?

と考えることです。

観察するときの問い

  • どの活動の前に起きたか
  • 誰が近くにいたか
  • どんな声かけをしたか
  • 場所や座席はどうだったか
  • 音、光、人の多さはどうだったか
  • 予定変更はあったか
  • その子にとって苦手な場面だったか

このように「前」を見ることで、支援の手がかりが見えてきます。


視点2:行動そのものを具体的に見る

次に大切なのは、
行動を具体的に見ることです。

記録や共有でよくあるのが、次のような表現です。

  • 落ち着かなかった
  • 不安定だった
  • ふざけていた
  • 集中できなかった
  • パニックになった
  • 指示が入らなかった

これらの言葉は、現場では使いやすい表現です。
しかし、支援を考えるうえでは少し曖昧です。

たとえば、「落ち着かなかった」と書くだけでは、実際に何が起きていたのかが分かりません。

具体的には、

  • 席を立って部屋を歩いた
  • 机の下に入った
  • 耳をふさいだ
  • 大きな声を出した
  • 友達の物を取った
  • 支援者の手を引っ張った
  • 活動の場所から離れた
  • 5分間のうち3回立ち上がった

のように書くと、支援者同士で同じ状況を共有しやすくなります。

厚生労働省の強度行動障害に関する報告書でも、行動観察・情報収集、行動の分析理解、支援手順書の作成、日々の記録などを通じて、本人に合わせた統一的な支援につなげることが示されています。

観察するときの問い

  • 実際に何をしたのか
  • どのくらい続いたのか
  • 何回起きたのか
  • どこで起きたのか
  • 誰に向けた行動だったのか
  • 危険性はあったのか
  • その行動で何を避けられたのか
  • その行動で何を得られたのか

新人支援者ほど、最初は「感想」ではなく「事実」を見ることが大切です。


視点3:行動の「後」を見る

子どもの行動は、行動そのものだけでなく、
その後に何が起きたかを見ることも重要です。

たとえば、子どもが泣いたあとに活動がなくなった場合、
子どもにとっては「泣くと活動を避けられる」という経験になることがあります。

また、強く要求したあとに好きな遊びが出てきた場合、
「強く伝えると要求が通る」と学ぶ場合もあります。

これは、子どもを責めるための見方ではありません。

支援者側が、
どのような対応が行動に影響しているのか
を確認するための視点です。

観察するときの問い

  • 行動のあと、支援者はどう対応したか
  • 活動は続いたか、変わったか
  • 子どもは何を得たか
  • 子どもは何を避けられたか
  • 落ち着いたきっかけは何だったか
  • 次回も使えそうな支援は何か
  • 逆に、強化してしまった可能性のある対応はないか

この視点があると、
「どうしてまた同じ行動が起きたのか」
をチームで考えやすくなります。


視点4:「できない」ではなく「条件」を見る

新人支援者が特に身につけたいのが、
できない理由を子どもの中だけに探さないことです。

たとえば、

この子は集団活動が苦手

と見るだけでは、支援は進みにくくなります。

しかし、

少人数なら参加できる
見本があると参加できる
支援者が近くにいると参加できる
最初の5分なら参加できる
終わりが分かると参加できる

と見ると、支援の方向が見えてきます。

大切なのは、
できる条件を探すことです。

こども家庭庁の放課後等デイサービスガイドラインでは、子どものニーズ、障害特性、発達段階、生活状況等に応じて活動プログラムを組み立て、支援の質の向上に努めることが求められています。

観察するときの問い

  • どんな場面ならできたか
  • 誰と一緒ならできたか
  • どのくらいの時間ならできたか
  • 何があると分かりやすかったか
  • どの座席なら落ち着きやすかったか
  • どんな声かけなら受け入れやすかったか
  • どんな順番なら取り組みやすかったか

この見方ができると、支援は「できないこと探し」ではなく、
できる条件づくりに変わります。


視点5:子どもの強みを見る

行動観察では、困っている行動だけを見るのではなく、
子どもの強みを見ることも大切です。

支援者は、困った場面に目が向きやすいです。

しかし、子どもには必ず強みがあります。

  • 好きなものがはっきりしている
  • 見本を見るとまねできる
  • 絵や写真があると理解しやすい
  • 手先を使う活動が得意
  • 体を動かすと気持ちが整う
  • 一対一だと話しやすい
  • 友達の様子をよく見ている
  • 役割があると参加しやすい
  • 興味のあることには集中できる

強みを見ることは、ただ褒めるためではありません。

その子が力を発揮しやすい支援を組み立てるためです。

観察するときの問い

  • 何に興味を持っているか
  • どんな活動で表情が良くなるか
  • どんなときに集中できるか
  • どんな関わり方だと安心しているか
  • どんな方法なら伝わりやすいか
  • その子らしさが出る場面はどこか

SHIPでは、子どもの課題だけでなく、
その子の強みや好きなことを支援に活かすことを大切にしています。


新人支援者が避けたい見方

行動観察をするとき、避けたい見方があります。

それは、子どもの姿をすぐに性格や意欲の問題として決めつけることです。

たとえば、

  • わがまま
  • 甘えている
  • やる気がない
  • 試している
  • 反抗している
  • 集団が苦手な子
  • 何度言っても分からない子

このような言葉で終わらせてしまうと、支援の具体策が見えにくくなります。

もちろん、現場では支援者も人間なので、そう感じる瞬間はあります。
しかし、そこで止まらずに、

どんな背景があるのか
どんな環境なら変わるのか
支援者側で調整できることは何か

と考えることが、専門性につながります。


記録は「感想」ではなく「次の支援につながる情報」にする

行動観察を支援につなげるためには、記録の書き方も重要です。

例1:曖昧な記録

活動中、落ち着かない様子があった。

これだけでは、次の支援に活かしにくいです。

例2:支援につながる記録

制作活動の説明が始まると、席を立って部屋の端に移動した。声かけを続けると耳をふさいだため、見本を近くに置き、最初の工程だけ支援者と一緒に行った。その後、シール貼りを3枚行うことができた。

この記録なら、次に考えることが見えます。

  • 説明だけでは分かりにくかった可能性
  • 声かけが多いと負担になった可能性
  • 見本があると取り組みやすい可能性
  • 最初の工程を一緒に行うと参加しやすい可能性

記録は、子どもを評価するためだけのものではありません。
次の支援をよくするための材料です。


チームで共有すると、支援は深まる

新人支援者が一人で完璧に見立てる必要はありません。

むしろ、最初から一人で判断しようとしすぎると、苦しくなります。

大切なのは、見た事実をチームに出すことです。

たとえば、

「活動前に席を立ちました」

だけでなく、

「説明が長くなったタイミングで席を立ちました」
「写真を見せると戻ってきました」
「支援者と一緒なら最初の工程はできました」

というように共有します。

すると、チームで、

  • 説明を短くしよう
  • 見本を先に見せよう
  • 最初の工程だけ一緒にやろう
  • 終わりを分かりやすくしよう

と支援をそろえやすくなります。

強度行動障害支援の文脈でも、障害特性のアセスメント、環境調整、支援手順書を活用した統一的な支援の重要性が示されています。これは強度行動障害に限らず、日々の療育現場でも「観察した事実をチーム支援に活かす」という考え方として重要です。


SHIPが大切にしている支援

SHIPでは、子どもの姿を
「できる・できない」だけで判断しません。

活動に入れない。
座っていられない。
友達とトラブルになる。
切り替えが難しい。
泣く、怒る、逃げる。

そうした姿があったときも、
すぐに注意や指導だけで解決しようとするのではなく、

  • 何が起きる前だったのか
  • どんな環境だったのか
  • 子どもは何に困っていたのか
  • どんな支援なら安心できたのか
  • どんな条件ならできたのか

をチームで考えます。

子どもの行動を丁寧に見ること。
事実をもとに支援を考えること。
小さな変化を見逃さないこと。
支援者一人で抱え込まず、チームで支援をそろえること。

それが、SHIPが大切にしている支援です。


専門性を深めながら働きたい方へ

児童発達支援や放課後等デイサービスの仕事は、
子どもと楽しく過ごすだけの仕事ではありません。

子どもの行動を観察し、
背景を見立て、
環境を整え、
チームで支援を考えていく仕事です。

SHIPでは、経験の有無だけでなく、
子どもの姿を丁寧に見ようとする姿勢を大切にしています。

山梨県笛吹市・中央市周辺で、
児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援・相談支援の仕事に関心がある方は、ぜひ採用情報をご覧ください。

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