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個別支援計画を日々の活動につなげるための実務の整理

個別支援計画と日々の活動・支援記録のつながりを表現した、計画書と教材のイメージ

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、一人ひとりの子どもに合わせて個別支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を行います。

しかし、計画を作成することと、日々の活動に計画の内容が反映されることは、同じではありません。

例えば、個別支援計画には「自分の気持ちを伝えられるようになる」という目標が書かれているとします。

では、今日の活動では、どのような場面でその力を育てるのでしょうか。

職員は、どのように関わればよいのでしょうか。

そして、支援した結果を何によって確認するのでしょうか。

私は、個別支援計画を日々の支援につなげるためには、こうしたことを具体的に考える必要があると思っています。

今回は、個別支援計画を作成して終わりにせず、現場で活用するための考え方を整理します。

1.個別支援計画は、日々の支援を考えるための土台

個別支援計画には、子ども本人や保護者の意向、アセスメントに基づく課題や強み、支援目標、具体的な支援内容などを整理します。

児童発達支援・放課後等デイサービスでは、本人支援の5領域を踏まえた総合的な支援が求められています。

5領域とは、次のものです。

  • 健康・生活
  • 運動・感覚
  • 認知・行動
  • 言語・コミュニケーション
  • 人間関係・社会性

ただし、日々の活動を5つに機械的に分け、それぞれ別の課題を用意しなければならない、という意味ではありません。

例えば、友達と一緒に道具を使う活動では、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性、認知・行動など、複数の領域が関連することがあります。

大切なのは、その活動を通して、子どもにとってどのような経験が必要なのかを考えることです。

※5領域と個別支援計画に関する説明は、こども家庭庁の児童発達支援・放課後等デイサービスのガイドライン等に基づきます。

2.計画の目標を、具体的な支援場面へ落とし込む

個別支援計画の目標が「友達とのやり取りを増やす」だった場合を考えてみましょう。

これは、説明のための架空の例です。

目標を職員が読んだだけでは、今日何をすればよいのかが分からないことがあります。

そこで、次のように考えてみます。

目標
友達とのやり取りを経験する。

活動場面
少人数でのブロック遊び。

具体的な支援
使いたい道具があるときに、本人が希望を伝えられるよう、必要に応じて言葉や絵カードなどを用意する。

観察すること
どのような方法で希望を伝えたか。どの程度の援助が必要だったか。友達とのやり取りがどのくらい続いたか。

こうして整理すると、計画に書かれた目標と日々の支援場面がつながります。

同じ活動でも、子どもによって目標は異なります。

活動内容を先に決めて全員に同じ目標を当てはめるのではなく、子どもの目標や今の状態から、その活動でどのような経験をつくるかを考えることが大切です。

保育や教育の経験をこうした支援にどう活かせるかは、保育士・教員から児童発達支援へ|仕事の違いと経験の活かし方でも紹介しています。

3.支援前には「目標・方法・観察点」を共有する

職員が日々の活動を担当するとき、活動名や時間だけを伝えれば十分とは限りません。

私は、職員育成でも、個別支援計画の目標を理解し、日々の活動へつなげられることを大切な到達点として考えています。

そのため、活動前に次の3つを確認する方法が考えられます。

① 今日の目標
その子にとって、今日どのような経験を大切にしたいのか。

② 支援方法
どのような声かけ、教材、環境調整、援助を用意するのか。

③ 観察すること
子どものどのような姿が見られれば、支援の結果を振り返れるのか。

毎回長い会議をする必要はありません。

その日の担当者が短い時間で確認できる形にしておくと、支援の方向性を共有しやすくなります。

ただし、この3項目は現場で使うための実務上の整理例であり、法令で定められた新たな記録様式という意味ではありません。

4.支援記録は「事実→支援→反応」で考える

私が職員の育成を考えるとき、大切にしていることの一つが、日々の支援を具体的に振り返られる記録です。

例えば、「ブロック遊びに参加できた」と記録したとします。

これは結果として必要な情報ですが、どのような支援によって参加できたのかまでは分かりません。

そこで、「事実→支援→反応」という形で整理してみます。

次は、説明用の架空の記録例です。

事実
活動開始を伝えた後、道具には触れず、友達が遊ぶ様子を見ていた。

支援
職員が本人の近くにブロックを2つ用意し、「一緒に作る?」「見ている?」と選べるようにした。

反応
本人がブロックを手に取り、職員と一緒に積み始めた。

このように書くと、何が起きたのか、どのような関わりをしたのか、その後の反応が分かります。

ただし、一度参加できたという結果から、その支援方法が必ず効果的だったと断定することはできません。

活動内容、周囲の環境、体調、関わる人などの条件も含めて継続的に確認することが必要です。

5.「できた・できない」だけでは支援を評価しきれない

私は、子どもを「できる・できない」だけで捉えることには限界があると考えています。

例えば、同じ活動に取り組む場合でも、

  • 一人では難しいが、見本があればできる
  • 声かけがあれば始められる
  • 少人数の環境では取り組める
  • 道具の位置を変えると使いやすくなる
  • 疲れている日は援助が必要になる

といった違いがあるかもしれません。

こうした条件を具体的に見ていくことで、次にどのような支援を試せばよいかを考えやすくなります。

その子にとって何が障壁になっているのか。

どのような条件なら力を発揮できるのか。

計画と日々の支援をつなげるためには、そうした観察と見立ても重要です。

6.日々の記録を、次の支援へつなげる

記録は、書いて終わりにするためのものではありません。

例えば、ある子どもが写真を見ながら準備を進められた場合、そのことを他の職員も知っていれば、次の活動で同じ手がかりを試せます。

反対に、同じ方法でうまくいかなかった場合には、どのような条件が違ったのかを考えられます。

そのためには、支援記録から次の行動が分かるようにしておくことも大切です。

「次回は道具の数を減らしてみる」

「最初の説明を写真で示す」

「活動の終わり方について、児童発達支援管理責任者に相談する」

こうした内容を、必要に応じて職員間で共有します。

支援方法の調整は日々必要ですが、個別支援計画の正式な変更が必要な場合には、児童発達支援管理責任者を中心に所定の手続きで進めます。

現場職員が計画を独断で変更してよいという意味ではありません。

7.モニタリングのときだけ計画を見直すわけではない

個別支援計画には、定められたモニタリングや見直しの手続きがあります。

その一方で、子どもの状態は毎日の生活の中で変化していきます。

新しくできるようになったことが見つかる場合もあれば、これまでできていたことが難しくなる場合もあります。

また、家庭や園・学校での様子を知ることで、支援の見立てが変わることもあります。

そのため、日々の実践を通して気づいたことを、児童発達支援管理責任者へ共有し、必要に応じて計画の見直しにつなげることが大切です。

モニタリングの期限を待つだけではなく、子どもの変化や支援の必要性に応じて検討していきます。

なお、モニタリングの実施頻度、計画の作成・同意・交付等については、最新の運営基準や行政通知を確認する必要があります。

8.管理者・児童発達支援管理責任者が確認したいこと

個別支援計画を現場で活用するために、次のような点を振り返ってみてはいかがでしょうか。

  • 職員は、担当する子どもの主な支援目標を説明できるか
  • 活動のねらいと個別支援計画がつながっているか
  • 日々の支援記録に、具体的な支援と子どもの反応が残っているか
  • 記録された情報が次の担当者へ共有されているか
  • 目標の達成状況や必要な変更が、児童発達支援管理責任者へ伝わっているか

すべてを一度に改善しようとする必要はありません。

まずは一人の子どもについて、計画の目標と今日の活動、支援記録を並べて確認してみることから始められます。

現場で判断することと管理者に相談することの分け方は、管理者が全部判断しない組織へ|権限移譲の始め方で取り上げています。

まとめ|個別支援計画を現場で使えるものにする

個別支援計画は、作成しただけで支援の質が高まるものではありません。

大切なのは、計画に書かれた目標が、子どもへの日々の関わりにつながっていることです。

目標を理解する。
活動の中で具体的な支援を行う。
子どもの反応を観察して記録する。
職員間で共有する。
そして、次の支援や計画の見直しにつなげていく。

「計画を作ること」と「計画に基づいて支援すること」を、別々の仕事にしない。

私は、こうした視点を大切にしながら、子ども一人ひとりの成長を支える組織づくりを進めていきたいと考えています。

参考資料

こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」「放課後等デイサービスガイドライン」(令和6年7月)

こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」

こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」

※本記事は、支援実践と組織内の情報共有について考えるための解説です。個別支援計画の法定様式や手続きを置き換えるものではありません。制度・報酬に関する内容は、適用時点の通知および指定権者の案内を確認してください。

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この記事について

本記事には、THE SHIP代表・土屋勇太が過去に語った支援観と職員育成方針を反映しています。

活動場面や支援記録は説明用の架空例であり、実在する利用児童の事例や特定の支援による改善実績を示すものではありません。

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