児童発達支援や放課後等デイサービスでは、複数の職員が同じ子どもに関わります。
その中で、職員によって対応が違うことがあります。
ある職員は、子どもが活動に入れないとき、少し時間を置いて待つ。
別の職員は、すぐに声をかけて活動へ誘う。
また別の職員は、最初から一緒に活動を始めようとする。
同じ子どもへの対応なのに、職員によって関わり方が異なる。
管理者としては、
「対応を統一した方がよいのではないか」
「どちらの対応が正しいのだろう」
と考えることがあると思います。
私も、事業所の支援や職員育成を考える中で、職員が共通した方向性を持って関わることを大切にしています。
ただし、すべての職員が、いつでもまったく同じ言葉や方法で関わればよいということではないと思っています。
大切なのは、何を共通にする必要があり、どの部分は状況に応じて調整してよいのかを考えることです。
今回は、職員ごとに対応が違うとき、管理者が最初に確認したいことを整理します。
1.まずは「何が違うのか」を具体的にする
職員の対応が違うと感じたとき、最初に行いたいのは、具体的な事実の整理です。
例えば、
「Aさんは優しいけれど、Bさんは厳しい」
という話が出たとします。
しかし、この表現だけでは、実際に何が違っているのかが分かりません。
声の大きさでしょうか。
活動に誘うタイミングでしょうか。
子どもが拒否したときの対応でしょうか。
それとも、活動のルールそのものが違うのでしょうか。
まずは、実際の場面を確認します。
どのような活動だったのか。
子どもはどのような状態だったのか。
職員は何と伝えたのか。
その後、子どもはどう反応したのか。
私は、職員の性格や経験だけで判断するのではなく、何が起きたのかを具体的に確認することが大切だと思っています。
ただし、暴力、威圧、重大な安全上の問題、虐待が疑われる事態などは、通常の支援方針の違いとして扱わず、安全確保と所定の報告・対応を優先する必要があります。
2.対応が違う理由を考える
同じ場面で職員の対応が違うとき、その背景にも目を向けます。
例えば、職員によって支援の目的の理解が違うのかもしれません。
ある職員は、子どもが自分で考えることを大切にしている。
別の職員は、活動に参加する経験を増やすことを大切にしている。
それぞれが異なることを重視している場合、関わり方にも違いが生まれる可能性があります。
あるいは、職員が見ている子どもの姿が違うのかもしれません。
朝の活動では落ち着いているけれど、夕方には疲れが見られる。
少人数では取り組めるけれど、大人数では難しい。
このように、場面が違えば必要な支援も変わります。
だからこそ、管理者は「どちらが正しいか」をすぐに決める前に、何が違うのかを整理する必要があります。
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3.支援の目的がそろっているか確認する
職員ごとの対応を考えるとき、私は、方法より先に支援の目的を確認することが重要だと考えています。
例えば、「活動への参加を増やす」という目標があったとします。
このとき、単に活動の席に座ることが目的なのでしょうか。
それとも、本人が活動の内容を理解し、自分から参加できることを大切にしているのでしょうか。
支援の目的が違えば、望ましい関わり方も変わります。
個別支援計画には、その子どもに対して大切にする目標や支援内容が示されています。
管理者や児童発達支援管理責任者は、職員がその内容を理解しているか確認することが必要です。
ただし、計画に目標が書かれているだけで、日々の具体的な支援方法まで自動的に統一されるわけではありません。
今日の活動で何を大切にしたいのか。
その子どもには、どのような援助が必要なのか。
職員間で、そのことを具体的に共有する必要があります。
関連記事 個別支援計画を日々の活動につなげるための実務の整理
4.統一する部分と、個別に調整する部分を分ける
私は、支援をチームで行うとき、すべてを同じ方法にする必要はないと考えています。
例えば、次のようなことは共通にする必要があります。
- 子どもの安全を守ること
- 本人の尊厳や意思を尊重すること
- 支援の主な目的
- 活動中に必要な配慮
- 危険な場面での対応
- 職員間で共有すべき情報
一方、具体的な声かけや援助方法は、子どもの状態やその場の状況に応じて調整する必要がある場合もあります。
例えば、同じ子どもでも、疲れている日には活動量を減らす必要があるかもしれません。
安心できる職員との関係を活かした方がよい場面もあるかもしれません。
大切なのは、職員がそれぞれ好きな方法で行うことではありません。
共通した支援の目的を理解したうえで、必要な調整を行うことです。
※法令上必要な対応や安全に関わる判断、個別支援計画の正式な変更手続きなどは、現場職員の個人判断だけで行ってよいものではありません。
5.管理者は、職員を責める前に話を聞く
職員の対応が違っているとき、管理者として注意や指導が必要になる場合もあります。
しかし、私は、感情的に責めるような関わり方は避けたいと考えています。
何を考えて、その対応をしたのか。
子どものどのような姿を見ていたのか。
どのような結果になったのか。
まずは職員の考えを聞くことが大切です。
本人がどのように判断したのかを理解しないまま、「そのやり方は違う」と伝えても、次の支援につながらないかもしれません。
例えば、
「どうしてそんな対応をしたの?」
という言葉だけでは、職員が責められていると感じる場合があります。
「そのとき、どんなことを考えて関わった?」
「子どものどんな姿を見て判断した?」
と聞いてみる方法もあります。
もちろん、不適切な行為があった場合には、必要な指導や対応を明確に行う必要があります。
職員の意見を尊重することと、不適切な行為を見過ごすことは別です。
私は、職員が安心して考えを話せる関係をつくりながら、必要なことは理由も含めて伝える管理者でありたいと考えています。
6.実際の場面を一つ選んで、支援方法を整理する
対応の違いを話し合うとき、最初からすべての子どもや活動について統一しようとすると、時間がかかるかもしれません。
まずは、職員間で意見が分かれている場面を一つ選んでみます。
例えば、活動の切り替えが難しい場面を考えてみましょう。
※以下は説明用の架空の例です。
ある職員は、活動終了の時刻になるとすぐに次の活動へ誘います。
別の職員は、子どもが遊びを終えるまで待ちます。
この場合、どちらかをすぐに正解とするのではなく、子どもの姿を確認します。
事前に終了を知らせていたか。
活動の終わりが分かりやすかったか。
子どもは何を伝えようとしていたか。
待つことで落ち着いて移動できたのか。
声かけがあることで行動しやすくなったのか。
こうした情報を持ち寄ります。
そのうえで、次回はどのような関わりを試すかを決めます。
例えば、活動終了の少し前に見通しを伝え、必要に応じて選択肢を示す方法も考えられます。
ただし、一度決めた方法が必ず適切とは限りません。
実際の子どもの反応を確認しながら、必要に応じて調整することが大切です。
7.「次に何をするか」まで決める
支援方法について話し合うとき、
「今後は対応を統一しましょう」
という言葉だけで終わってしまうことがあります。
しかし、私は、それだけでは現場の行動を変えることは難しいと思っています。
具体的に、次のことを整理します。
① どの場面で取り組むか
例:自由遊びから集団活動へ切り替える場面。
② どのような関わりを試すか
例:事前に終了を伝え、活動の終わりを分かりやすくする。
③ 何を観察するか
例:子どもが自分で切り替えられたか、どの程度の援助が必要だったか。
④ 誰が確認するか
例:担当職員が記録し、管理者や児童発達支援管理責任者と共有する。
⑤ いつ振り返るか
例:数日間の様子を確認し、次のミーティングで共有する。
これらは説明用の実務例であり、すべての事業所で同じ手順を導入しなければならないという意味ではありません。
大切なのは、話し合った内容が、次の支援へつながることです。
8.支援がうまくいかなかったとき、職員個人の問題だけにしない
支援がうまくいかなかったとき、職員の関わり方を振り返ることは必要です。
しかし、それだけで終わらせないことも大切だと思っています。
活動の内容は適切だったか。
職員の配置に無理がなかったか。
必要な情報が共有されていたか。
子どもの状態を十分に把握できていたか。
支援方針は分かりやすく伝えられていたか。
こうした組織側の条件も確認する必要があります。
例えば、新しい職員が支援方法を理解できていなかった場合、それは本人が学ぶべき課題かもしれません。
同時に、事業所として必要な説明や引継ぎを行っていたかという課題も考えられます。
私は、管理者には職員への指導だけでなく、職員が適切に支援できる環境を整える役割もあると考えています。
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9.管理者が最初に確認したい5つのこと
職員ごとに対応が違うとき、私は次の5つを確認する方法が考えられると思います。
① 子どもの安全に問題はないか
危険な対応や不適切な行為があれば、速やかに必要な対応を行う。
② 実際に何が違っているのか
印象や評価ではなく、活動場面・職員の言葉・子どもの反応を確認する。
③ 支援の目的は共有できているか
個別支援計画や日々の活動のねらいを理解しているか確認する。
④ 何を共通にし、何を調整するか
安全や支援の目的を共通にしながら、子どもの状態に応じた関わりを考える。
⑤ 次に何を試し、いつ振り返るか
具体的な支援方法と観察点を決め、必要に応じて見直す。
この5つは、管理者が日々の支援を整理するための実務上の提案です。
法令で定められた新たな点検項目という意味ではありません。
まとめ|支援をそろえることは、全員が同じ言葉を使うことではない
児童発達支援や放課後等デイサービスでは、職員ごとに子どもへの関わり方が異なることがあります。
その違いが、子どもにとって分かりにくさや不安につながる場合には、改善が必要です。
一方で、すべての職員が、いつでも同じ方法で関わることが適切とは限りません。
子どもの状態や活動の条件によって、必要な援助は変わることがあります。
私は、支援の目的を共有し、子どもの姿を具体的に見ながら、必要な対応をそろえていくことが重要だと考えています。
そのために管理者ができることは、職員の違いをすぐに責めることではありません。
何が起きているのかを確認する。
職員の考えを聞く。
必要な支援の方向性を整理する。
次に試すことを決める。
そして、その結果を一緒に振り返る。
そうした積み重ねが、子どもにとって安心できる支援と、職員が学び続けられる組織づくりにつながると考えています。
職員の支援方針やチームづくりを整理したい方へ
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